株の信用残高と信用倍率(貸借倍率)と逆日歩:約定日と受渡日の違いに注意して逆日歩を計算しよう

2018.04.11

信用買い残

信用取引を使って買っている株式の残高を信用買い残(略して買い残)といいます。

例えばXという会社の株式をAさんとBさんが信用で買っている状況を考えます。Aさんは100株、Bさんは200株、信用取引で買ってずっと持っているとします。このときXの買い残は300株(100株+200株)です。

もしBさんが信用で買ったXを200株すべて売ったら、Xの買い残は100株になります。買い残は信用取引があるごとに変化します。

信用売り残

信用取引を使って空売りしている株式の残高を信用売り残(略して売り残)といいます。

CさんはX株式を持っていませんが、Xは値下がりするだろうと考えて400株を空売りしたとします。このときCさんは誰か(証券会社など)からXを400株借りて、それを市場で売ったことになります。

同じようにDさんは300株を空売りしたとします。他に誰も空売りした人がいないとすると、Xの売り残は700株(400株+300株)になります。

買い残と売り残の影響

信用で買った株はいつか売らないといけません。「信用で買う」とは証券会社から一定金額を借りて、その借りた分で株を買う行為です。借りた金は返済しなければいけないので、一定期間が経つまで信用で買った株式は売って現金にして、借りた分を返済することになります。

信用で買った株式は将来必ず売られるため、買い残は将来の売り圧力になるわけです。

買い残と売り残

反対に、信用で売った株はいつか買い戻さないといけません。空売りした株式を買って、その株を証券会社に返済するためです。つまり売り残は将来の買い圧力になります。

信用残高

信用残高とは、買い残と売り残のことです。文脈によっては両方の合計を意味します。

買い残は売り圧力、売り残は買い圧力になるので

  • 買い残>売り残 → 将来値下がる
  • 買い残<売り残 → 将来値上がる

と予測できます。ファンダメンタル分析やテクニカル分析だけでなく、買い残と売り残のバランスも将来の値動きに影響します。売り残に比べて買い残がどのくらいあるか、という程度は信用倍率で表します。

信用倍率

「信用買い残÷信用売り残」を信用倍率といいます。信用倍率でなく貸借倍率としている証券会社やメディアもあります。例えば信用買い残が100株、信用売り残が200株の場合は

100÷200=0.5

信用倍率は0.5となります。

信用倍率

信用倍率は信用残高のバランスです。信用倍率は銘柄や業界ごとに異なり、「信用倍率は0.7がちょうどいい」といった目安はありません。銘柄に適した信用倍率は取引の出来高によっても変わります。

各株式の信用倍率はヤフーファイナンスのページですぐに調べられます。次のスクリーンショットはヤフーファイナンスのトヨタ自動車のページです。

ヤフーファイナンス
引用: ヤフーファイナンス

ヤフーファイナンスで信用倍率と信用残高のデータを調べるやり方を紹介します。下図はヤフーファイナンスのトヨタ自動車のページです。銘柄の名前の下にある[時系列]をクリックし、その下の[信用残時系列]をクリックすると、一週間ごとの信用残高の時系列をチェックできます。トヨタ自動車を見てとっても信用倍率がかなり変動していることがわかります。

ヤフーファイナンスの信用倍率
引用: トヨタ自動車 - ヤフーファイナンス

逆日歩

空売りするためには証券会社から株を借りる必要があります。つまり証券会社はその株をある程度持っている必要があります。もし空売りする人が増えて、証券会社の持っている株がなくなってしまったらどうなるでしょうか?

証券会社の手持ちの株がなくなったら、空売りしたい人は日本証券金融株式会社(日証金)から株を借りることになります。

さらに日証金も手持ちの株がなくなったら、空売りしたい人は一般の投資家(機関投資家)から株を借りることになります。

証券会社→日証金→機関投資家

現金を借りると日々金利が積みあがることは想像できると思います。同じように株も、空売りするために株を借りると、その分だけ金利が積みあがります。ここで金利は二つの種類があります。

  • 証券会社や日証金から株を借りるときの金利
  • 機関投資家から株を借りるときの金利

空売りの金利といえば基本的に前者の金利をさします。後者の金利を「逆日歩(ぎゃくひぶ)」といいます。逆日歩は証券会社と日証金の株が極端に少なくなった状態、つまり空売りが極端に行われている状態をさします。

金利の流れ

逆日歩も金利であり、日々積みあがりますが、通常の空売りの金利よりも額が大きいので注意しましょう。特に株主優待の権利確定前の空売りは逆日歩が頻繁に発生するため、自分が空売りしようとしている株と時期が、株主優待や配当金の確定日に近づいていないかどうか必ずチェックしましょう。

逆日歩のポイント

逆日歩は通常の金利と違います。逆日歩でおさえておきたいポイントをあげましょう。

  • 唐突に発生し、予測がつかない
  • 日証金の金利よりもずっと高くなる場合がある
  • 営業日単位でなく、通常の日付を根拠とする
  • 踏み上げ相場になる危険も

逆日歩は突然発生します。「もう少しで株不足になる」と予想しても逆日歩がつかない場合もあり、「え?もう株不足?」と意表をつくように逆日歩が発生するときもあります。また逆日歩はどれだけ株が不足しているかという程度に依存するため、通常の金利よりもずっと高くなる危険があります。

一番やっかいなポイントは日程です。ここで空売りがどのような日程で行われるかあらためて確認しましょう。

私たちが証券会社で空売りしたとき、実際はその予定が反映されるだけで、実際に株の受渡し(私たちが証券会社から株を借りること)は行われていません。これは空売りした日の4営業日目に行われます。言い方がかなりややこしく、混乱しやすいところです。

例えば4月9日の月曜日に空売りすると、実際は4月12日の木曜日に株の受渡しが実行されます。空売りの約定は月曜日でも、その日から水曜日までは証券会社などから株を借りていない状況です。4月12日の木曜日にようやく証券会社などから株が渡されますが、それは4月9日の月曜日にすでに売っているので、当然自分のもとに株はありません。

続いて空売りした株を買いもどすときの日程です。株を4月23日の月曜日に買いもどすと、その約定は当日中ですが、株の返済はその4営業日目である4月27日の木曜日になります。27日にようやく株を証券会社に返済するわけです。

受渡日のカレンダー

約定日と受渡日の間に2営業日が入ると考えてください。

土日祝日をはさむとどうなるでしょうか?土日祝日が入るとその分だけ受渡日がずれます。約定日と受渡日の間に2営業日が入るので土、日、月、火が約定日と受渡日の間に入りこむのです。

受渡日のカレンダー

続いて空売りした後で買いもどすときの日程を考えましょう。約定日と受渡日のペアが2つ出てくるので注意してください。下図は月曜日に空売り、火曜日に買いもどしのパターンです。木曜日に空売りの受渡し、金曜日に買いもどしの受渡しが行われるので、万が一逆日歩が発生しても1日分となります。

受渡日のカレンダー

逆日歩はあくまでも受渡日を基準にしています。今回の例ではたまたま

空売りの約定日と買いもどしの約定日の差=1日分
空売りの受渡日と買いもどしの受渡日の差=1日分

となっていますが、これは土日をはさまないからです。土日をはさむと次のように複雑になります。

土日をはさむと複雑な日程になる

火曜日に空売りすると、金曜日に受渡しになります。空売りした翌日の水曜日に買いもどすと、翌週の月曜日に受渡しになります。逆日歩は土日関係なくカウントするため、土、日、月の3日分が逆日歩になります。

空売りしている本人は空売りした次の日に買いもどしているため、1日分しか差がないように思っているかもしれませんが、実際は3日もずれこんでいるのです。逆日歩のポイントは、証券会社は土日に休むが、逆日歩という金利は土日に休まないという点にあります。株主優待をもらいたいという理由で空売りしている人はこの点に十分に注意しましょう。

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